2015年2月22日日曜日

2015.02.22 宇都宮市立南図書館名作映画会 「風と共に去りぬ」

宇都宮市立南図書館 サザンクロスホール

● DVDのレンタルショップで借りられるんでしょ。だけど,こいうのって一人で観ても面白くなさそうだ。
 それに,大きな画面で観たい。ぼくはノートパソコンしか持っていないので,少々物足りない。音響の問題もある。

● ということで,雀宮にある南図書館まで出かけてみた。ここでは年に数回の上映会を開催しているんだけれども,他の予定と重なることが多くて,出かけたのは2013年1月以来となる。
 ホールはぎっしり満席。2年前は空席のほうがずっと多かった。しかも,多くは高齢者だった。が,今回は年齢もだいぶばらけていた。
 知名度があがってきたのか,今回は「風と共に去りぬ」だったからなのか。

● 「風と共に去りぬ」は数十年前,当時あった名画座で観たことがある。観た記憶はあるんだけど,どんな映画だったのかまったく憶えていない。身の丈に合わないのに,背伸びして観てたんだろう。
 1時半に上映開始。途中で20分の休憩をいれて,終わったのは5時半。とにかく長い。

● おかしかったのは,レット・バトラーもアシュレー・ウィルクスも,後半(南北戦争が終わったあと)はダメンズに変身してしまうところ。
 バトラーなんか,そんなことわかっててスカーレットと結婚したはずなのに,彼女の気持ちが自分に向かないことに嫉妬する。アシュレーは悩める青春坊やになってしまう。
 数十年前はこういうところについていけなかったのかもしれない。

● 対して,女たちは逞しい。スカーレットがその典型だけど,メラニーもマミーも,それぞれのやり方で激動を乗りきっていく。
 覚悟を決めたら女は強いという分かりきった教訓を引きだすのでは芸がないけれども,現実でも感じるそのことが,画面からビンビン届いてくる。

● よくできた娯楽映画なのだろう。ヴィヴィアン・リーやオリヴィア・デ・ハヴィランドのあきれるほどの美しさ。使用人(奴隷なのだろう)を演じたハティ・マクダニエルの絶妙な味わい。彼女はこの役で,黒人初の助演女優賞を受賞したんでしたっけ。
 ほとんどをセットで撮影していると思われるんだけど,戦闘場面にもリアリティを感じる。実際の戦闘場面はこうじゃないのかもしれない。リアリティを感じると言ったって,そのリアルがわかっていない。
 が,こちらがそうだろうと思っている空想現実をきちんと突いてくる。

● 後半でのアシュレーとミード医師の酔っぱらった演技はお見事。観客も本当に酔っているのだといったんは思わされる。じつは劇中でも演技だったわけですが。
 この程度の演技はごく初歩的なものなんでしょうね。にしても,巧いものだ。

● アメリカの奴隷制度に関しては,学校の歴史の勉強で悲惨なものだったと擦り込まれているけれども,ここに登場する奴隷たちはけっこうユーモラスで救いがある。マミーなんか,始終,スカーレットに説教している。
 奴隷といったって機械じゃなくて人間なんだから,使う側にも器量が要求されたに違いない。

● というわけで,わざわざ観に行って大正解。これ,DVDを借りたとしても,最後までは観きれなかったんじゃないかと思う。これだけ長いと。
 強制されないと最後まで観るのは難しいという印象。けれども,観終えたあとは,いや,いいものを観たという満足感に包まれる。