2016年2月21日日曜日

2016.02.21 宇都宮市立南図書館名作映画会 「断崖」

宇都宮市立南図書館 サザンクロスホール

● 1941年に公開されたヒッチコック監督作品。アメリカで制作された。

● 昨日は東図書館で,今日は南図書館。先月からヒッチコック作品を取りあげていて,来月も見られれば,4本。ありがとうございます,と言いたくなる。

● 良家の子女であるリナ(ジョーン・フォンテイン)と詐欺師ながら女性の気を惹くのが巧いジョニー(ケーリー・グラント)が結婚してしまう。
 で,まぁ,色々あって,ジョニーの友人のビーキー(ナイジェル・ブルース)が死ぬところまで行く。リナはジョニーの仕業ではないかと疑い,いつかは自分も殺されるのではないかと考える。

● 実家に戻るつもりが,途中でジョニーを誤解していたと思い直し,引き返す。ここで映画は終わる。ジョニーを誤解していたと思ったのは,ジョニーの弁舌にしてやられたからだ。

● いやいや,それは観客にもわからない。ひょっとしたら,ジョニーの言うとおりなのかもしれない。しかし,そうは思いにくい伏線がいくつも張られている。
 もし自分がビーキーについてパリまで行っていれば,死の原因になったブランデーの飲み過ぎ(ビーキーは心臓が弱いのだろう)を自分は止めたと,ジョニーは言う。が,リナとジョニーとビーキーと3人でいるときにもビーキーはブランデーを飲んで発作を起こした。このとき,ジョニーは放っておくしかない,と冷たく言い放っている。

● 何度もリナに嘘をついている。雇用主相手にひどい詐欺もはたらいている。目先の快楽に必ず負ける男で,そのお金のためには詐欺も殺人もやりかねない男として描かれている。
 ミステリー作家に毒薬のことを詳しく訊く。なにゆえにそこまで知りたがるのかわからない。ということは,誰かを殺すつもりなのだろうと,リナも観客も推測することになる。

● ので,最後のシーンで観客はリナを案じることになる。ジョニーは黒だ。
 でも,本当のところはわからない。誰にもわからない。このあたりが,ヒッチコック流なんでしょう。

● ケーリー・グラントの演技もそういう役どころにはまっている。心憎い悪役ぶりをふりまいている。
 この映画ではジョーン・フォンテインがアカデミー主演女優賞を得ているんだけど。